アクアリウムという趣味はどんな人に向いているのだろうか?一見短気な人には向かないと思いがちだが、周りを見回してもアクアリウムをしている人全部が全部気の長い人達ばかりではないでしょう? しかし、決定的に向かない性格の人達もいる。それはせっかちな人達である。 これは何年か前の話。店に来られたのは陽気なオジサン。 「いらっしゃいませ」 「チョット見せてね」 「ハイ、どうぞごゆっくり」 ひと通り店内を見てから 「イヤーきれいなもんだねー こんなのがあるとは知らなんだなー」 「ありがとうございます」 「ワシも昔金魚を飼ったことがあるけど、こんなのは最近の流行りかね?」 「そうですね、流行ってますね」 「特にあの水槽がええなー あんなのをウチに置きたいねー」と、1600の水槽を指さした。 その頃の1600水槽はリシアとグロッソスのレイアウトだった。 「あの泡がいっぱい付いてるやつはなんて言うの?」 「あー リシアですね」 「リシア・・・? ふーん」 「浮き苔の一種で、石とか流木にテグスで縛るんです」 縛りたての物があったのでをお見せした。 「ン? なんか全然違うように思うけど・・・」 「これは縛りたてなんでこんなもんですけど、水槽に入れて照明してCO2 を添加するとああゆう風になります」 「CO2 ・・・?」 「えーと、二酸化炭素のことです」 「二酸化炭素?」 「炭酸ガスとも言いますけど・・・」 「炭酸というとサイダーみたいなもんか?」 「サイダー・・・?」 (イヤ、チョット違うんですけど・・・) 「その炭酸を水槽に入れるの?」 「ええ、こんな物で添加するんです。」と、CO2の機材をお見せして説明した。 「なるほど、こうゆう物で炭酸を入れるとサイダーみたいになる」 「ハッ? イヤ、サイダーにはなりませんよ」 「ならない? すると何になんの?」 「イヤ、何にもなりません 水草が育つんです」 「ハァーなるほどね その炭酸を入れると育って2、3日でああゆう風になるのか」 「ヘッ? 2、3日じゃ無理ですよ」 「無理? 1週間ぐらい?」 「1週間でも無理ですよ 最短でも1ヶ月くらいですかねー」 「1ヶ月! そんなにかかるの?」 「ハイ かかりますね」 「じゃ手前の絨毯みたいなヤツも、種を蒔いてそれくらいかかる?」 グロッソスのことだった。 「もっとかかりますよ それに種蒔きじゃなくてこれをバラして植えるんです」 販売水槽に入れてあるポット入りのグロッソスも見てもらい植え方の説明もした。 「ハァー・・・ こりゃアカンなー」 「何がですか?」 「ああゆう水槽を置きたいと思ったんやけど、そんなに待てんなー なんとかもうチョット早くならんかねー」 「そう言われてもウチが決めることじゃないんで・・・・・・」 「そんならこうしよう! この水槽まるごと買うから今晩届けてくれへんかなー」 「この水槽ですか!? 今晩? そりゃ無理ですよ」 「今晩、アカンかったら明日の晩でもええけど」 「イヤ、そういう事じゃなくて、重くてバラさないと運べませんよ」 「水、半分ぐらい抜いたらいけるんちゃう?」 設置の時カラの水槽を台に載せるだけで大人が4人かかった物である。 水を半分抜こうが全部抜こうが、動かせるような代物ではないのである。 「そうかー アカンか・・・ しゃーないな ま、取りあえず検討してくるわー」と、カタログを握りしめて帰っていった。 あれから2年はたつが、まだ検討しているのだろうか?
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